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2023.04.04
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メキシコ中銀、15会合連続の利上げ決定も今後のハト派姿勢を示唆
~ペソ相場は米ドル高一服で強含み、利上げ局面の終了を示唆も今後も米FRBの動向如何の展開~
西濵 徹
- 要旨
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- メキシコ中銀は先月30日に開催した定例会合で15会合連続の利上げに動くも、利上げ幅を25bpに縮小する決定を行った。同国経済は外需や移民送金の大宗を米国に依存しており、足下では米国経済が頭打ちの様相を強めるなかで景気の足を引っ張る材料が顕在化しつつある。他方、商品高や景気回復を追い風とするインフレ昂進の動きは一服しつつあるも、依然中銀目標を大きく上回る水準で高止まりしている。ただし、政策運営に影響を与える米FRBは直前のFOMCでも小幅利上げに留めており、利上げ幅の縮小に動きやすい環境にあったと捉えられる。さらに、先行きの政策運営について前回会合で言及した追加利上げの可能性を削除するなど、利上げ局面の終了が近付いている様子もうかがえる。米ドル高一服によりペソ相場は強含んでいるものの、先行きの政策運営は米FRBの動向に左右される神経質な展開が続くと予想される。
メキシコ経済を巡っては、財輸出の約8割、GDPの約4%に相当する移民送金の大宗が米国からの流入が占めるなど、米国経済の動向の影響を受けやすい特徴を有する。昨年来の同国経済は、感染一服による経済活動の正常化の進展に加え、物価高と金利高の共存にも拘らず米国経済が堅調に推移していることも追い風に底入れの動きを強めている。ただし、ウクライナ情勢の悪化をきっかけとする商品高による世界的なインフレの動きは、同国においても食料品やエネルギーなど生活必需品を中心とするインフレに加え、景気回復を追い風とする雇用改善の動きもインフレを招いている。他方、米FRB(連邦準備制度理事会)によるタカ派傾斜を反映した国際金融市場における米ドル高の動きは、多くの新興国において資金流出に伴う通貨安を通じた輸入インフレを招いてきた。しかし、メキシコ中銀は物価抑制を目的に一昨年6月に約2年半ぶりの利上げに動いたほか、その後は物価と為替の安定を目的に断続的、且つ大幅利上げを実施するなど米FRBと歩調を併せる動きをみせてきた。結果、ペソ相場は米ドル高局面においても比較的堅調な推移をみせてきたほか、昨年末にかけては米FRBによるタカ派姿勢の後退を反映して米ドル高に一服感が出て以降は強含みする展開が続いている。足下においては商品高の動きに一服感が出ている上、ペソ高により輸入物価に下押し圧力が掛かるなかで上振れしたインフレ率は昨年9月を境に頭打ちに転じているものの、直近2月のインフレ率は前年比+7.62%、コアインフレ率は同+8.29%とともに中銀目標(3±1%)の上限を大きく上回る推移が続いている。他方、物価高と金利高の共存に加え、足下においては米国経済が頭打ちの様相を強めていることを反映して、財輸出、及び移民送金はともに頭打ちの動きを強めるなど景気の足を引っ張る動きが顕在化している。昨年10-12月の実質GDP成長率も前期比年率+1.83%と5四半期連続のプラス成長で推移するも、前期(同+3.67%)から伸びが鈍化するとともに、中期的な基調を示す前年比ベースの成長率も+3.6%と前期(同+4.4%)から鈍化するなど頭打ちの様相を強めている。さらに、上述のように足下の財輸出は鈍化するとともに、移民送金が頭打ちするなかでインフレ率が高止まりしていることは、内・外需双方で景気に下押し圧力が掛かっていると捉えられる。なお、中銀は2月の定例会合において、直前に米FRBが利上げ幅を縮小したにも拘らず、インフレ懸念がくすぶることを警戒して14会合連続の利上げに加え、利上げ幅を2会合連続で50bpとする大幅利上げを決定した(注1)。他方、先行きにおける利上げ幅の縮小を示唆する考えをみせたことに加え、米FRBが先月21~22日開催したFOMC(連邦公開市場委員会)において25bpの小幅利上げを維持したこともあり、中銀は30日に開催した定例会合において15会合連続の利上げに動くも、利上げ幅を25bpに縮小させた。会合後に公表した声明文では、先行きの政策運営に関連して2月会合においては追加利上げの可能性に言及したものの、当該箇所がすべて削除されるとともに「物価見通しを踏まえつつ、すでに実施してきた政策スタンスの是非を検討する」として利上げ局面の打ち止めが近付いていることを示唆していると捉えられる。足下では主要産油国であるOPECプラスの予想外の追加減産決定により国際原油価格は上振れするなど(注2)、インフレ再燃に繋がり得る動きがみられるものの、再加速する事態が回避されれば利上げ局面が終了を迎えるとともに、その後は緩和的な政策に移行することが見込まれる。ただし、その動向については引き続き米FRBによる政策運営がカギを握る展開が続くと予想されるほか、上述のように実体経済は頭打ちの様相を強める動きがみられるなかで神経質な対応が求められることになるであろう。



注1 2月10日付レポート「米FRBの利上げ幅縮小も、メキシコ中銀は市場予想を上回る大幅利上げを継続」
注2 4月3日付レポート「OPECプラスが予想外の追加減産決定、価格下支えの動きを強める」
西濵 徹
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
- 西濵 徹
にしはま とおる
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経済調査部 主席エコノミスト
担当: アジア、中東、アフリカ、ロシア、中南米など新興国のマクロ経済・政治分析
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西濵 徹

