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2024.10.21
アジア経済
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トルコ中銀、リラ安の動きに歯止め掛からず、利下げの布石を後退
~米ドル高再燃や中東情勢の不透明感などリラ相場に逆風、中銀の忍耐は一段の長期化が必至~
西濵 徹
- 要旨
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- トルコ中銀は17日に開催した定例会合で政策金利を7会合連続で50%に据え置いた。トルコ中銀は、昨年以降に正統的な政策運営を志向しており、足下ではインフレが鈍化するとともに、実質金利もプラスに転じるなどようやくその効果が現れる動きもみられる。しかし、通貨リラ相場は米ドル高の再燃に加え、中東情勢を巡る不透明感の高まりも相俟って最安値を更新するジリ安の展開が続く。中銀は9月の前回会合において、先行きの利下げの布石を打つ考えをみせたが、今回はインフレを巡るリスクに言及するなど利下げの後ズレが避けられなくなっている。足下の景気に急ブレーキが掛かる動きがみられる一方、中銀には忍耐が求められる局面が続き、リラ相場も見通しが立たず、難しい政策対応を迫られる展開が続くであろう。
トルコ中銀は、17日に開催した定例の金融政策決定会合において、政策金利である1週間物レポ金利を7会合連続で50%に据え置く決定を行っている。トルコでは、昨年の大統領選、及び総選挙後に実施された内閣改造を経て誕生した経済チームの下、それまでの「高金利がインフレを招く」といった因果が倒錯したエルドアン大統領の主張に推される形でインフレにも拘らず低金利環境を醸成する無茶苦茶な政策運営が採られてきた状況から、正統的な政策運営に一変が図られてきた。なお、昨年後半以降のインフレは前年に頭打ちした反動で加速する展開が続いたものの、直近においては5月を境に再び頭打ちに転じている。結果、9月のインフレ率は前年比+49.4%と14ヶ月ぶりの伸びに鈍化するとともに、実質金利(政策金利-インフレ)もわずかながらプラスに転じるなど引き締めの効果が顕在化している様子がうかがえる(注1)。このように中銀は引き締め姿勢を堅持する動きをみせているものの、通貨リラ相場を巡っては、米FRB(連邦準備制度理事会)による利下げ実施を受けて国際金融市場において米ドル安が進む動きが見られたにも拘らず、最安値を更新するジリ安の展開が続いてきた。さらに、足下においては再び米ドル高圧力が強まっていることも重なり、リラの対ドル相場は最安値を更新する動きをみせている。この背景には、中東情勢を巡る不透明感が一段と高まっていることが影響しており、トルコにおいてはエルドアン大統領が一貫して親パレスチナ、親ハマスの姿勢を鮮明にしていることもある。イスラエルとパレスチナ、レバノン、イランを取り巻く環境は一段と厳しさを増すとともに、見通しの立ちにくい状況にあるなかでリラ相場についても同様に見通しの立ちにくい展開となる可能性が高まっている。こうしたなか、中銀はあらためて引き締め姿勢を堅持する考えを示すとともに、会合後に公表した声明文では足下の物価動向について「基調的なインフレのトレンドはやや上向いている」との見方を示すとともに、「インフレ期待と企業の価格決定行動が引き続きディスインフレプロセスにリスクをもたらし続けている」との認識を示している。その上で、「金融引き締めに向けた断固とした姿勢が内需の減速、リラ相場の上昇、インフレ期待の改善を通じてインフレ基調の改善を促し、ディスインフレプロセスが進む」とした上で、先行きの政策運営について「インフレリスクに注意を払いつつインフレ基調が大幅かつ持続的に低下し、インフレ期待が予想範囲に収束するまで維持する」との従来からの考えを示している。なお、9月の前回会合においては先行きの政策運営に関連して「政策手段を効果的に用いる」と表現するなど『タカ派』姿勢を後退させるなど将来的な利下げに向けた布石を打つ動きをみせたものの(注2)、上述したようにその後もリラ安が続くなど輸入インフレの懸念がくすぶるとともに、幅広くインフレ圧力がくすぶる動きが確認されるなかで利下げ実施のタイミングは後ズレが避けられなくなっている。足下の景気を巡っては急ブレーキが示唆される動きが確認されるものの、中銀にとっては引き続き忍耐が求められる局面が続くと見込まれる一方、リラ相場については上述したように外部環境を理由に見通しが立ちにくい状況が続いており、政策対応はこれまで以上に難しい展開となることが予想される。


注1 10月10日付レポート「トルコの実質金利はいよいよプラスも、リラ相場に明るさみえず」
注2 9月20日付レポート「トルコ中銀は将来的な利下げ示唆か、リラ相場の行方は?」
西濵 徹
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
- 西濵 徹
にしはま とおる
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経済調査部 主席エコノミスト
担当: アジア、中東、アフリカ、ロシア、中南米など新興国のマクロ経済・政治分析
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阿原 健一郎

